動摩擦係数

生きています

シンキング

寄生虫によって人の体調がよくなることはあるらしい。寄生虫をわざと人体に寄生させる医療法の存在も噂に聞いたことがある。

ここ数ヶ月、胃がおかしい。何かがいつも胃の奥底で蠢いているような感覚を味わう。他はいたって普通だ。むしろ詐欺的なまでに体調は良いと言っていい。ランニングのタイムは上がっているし、食欲は旺盛だし、睡眠不足になるようなこともない。

何で医者に行かないのかと疑問に思われるかもしれない。答えは簡単だ。この寄生虫を取り除くことができるのは自分だけということが分かっているからだ。

3月とか6月という経団連の基準を聞いたことはあるが、どうやら経団連は大した組織ではないらしい。ここ数ヶ月が僕の就職活動の山場である。そしてその進捗が芳しくない。その芳しくない感じが増えてきたのと同時に胃の違和感も始まった。相関は誰から見ても明らかである。

選考ルートを進んでいても目的地の直前で道が封鎖されてしまう。その虚脱感が常に僕の脳裏で渦巻き、僕の胃の中でも渦巻いている。

時折こんな妄想が頭に浮かぶ。胃の中に潜み動き回っているのはネガティブという寄生虫。気を抜けば食道を遡上し口から出てくるだけでなく、もっと先、脳を支配してしまう。そんな醜態を見せる訳にはいかない。だから封じ込めなくてはならない。ものを食べ、消化器官を動かし、その寄生虫もろとも沈めて消化してしまおうとする。しかし何度それをやってもその寄生虫は浮かび上がってくる。

僕の思考は最近、この寄生虫の撃沈というミッションに支配されている。